79.バースデープレゼント(最終話)

13/30

1824人が本棚に入れています
本棚に追加
/828ページ
「ひっどい顔。…って言ってやりたいところなんだけど、こんなにぐちゃぐちゃになるまで泣いといて、それでもまだイケメンとかなんなの?喧嘩売ってんの?ずるいよ」 笑うと、宗司は見るなと片手を自分の前にかざして顔を背けた。 「…念のために、自分の名誉のために言っとくけど、こんな大泣きしたりとかしてないから。これまでの彼女との別れ際」 泣きすぎたせいで鼻声になってしまっている宗司が、弁解するように言うので笑ってしまった。 「あはは、そうなの?でも泣き虫だよね、宗司くんは。知ってるよ、前、夜中に寝てる僕の隣で泣いたの」 そう言うと、一瞬の間の後、呆然とした口調で宗司が呟いた。 「……嘘」 嘘じゃない。 「隣であんなぶつぶつ言われたら起きるってば。しまいには泣き出すし。わりと号泣レベルで。起きるに起きれなくなって目瞑ったまま寝たふりしてただけ」 今さら明かしてやると、宗司は片手で自分の頭を抱えた。 「……。はあー…。そうなの?どこからどこまで聞いたの?」 「全部」 「ああそう。…ほんと、間宮には何もかも筒抜けだよね。俺の心の中」 「聞きもしないのに勝手に宗司くんが教えてくれるんじゃん。何もかも」 「そうだけど」 拗ねたような声を出すのでまた笑ってしまう。     
/828ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1824人が本棚に入れています
本棚に追加