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「ひっどい顔。…って言ってやりたいところなんだけど、こんなにぐちゃぐちゃになるまで泣いといて、それでもまだイケメンとかなんなの?喧嘩売ってんの?ずるいよ」
笑うと、宗司は見るなと片手を自分の前にかざして顔を背けた。
「…念のために、自分の名誉のために言っとくけど、こんな大泣きしたりとかしてないから。これまでの彼女との別れ際」
泣きすぎたせいで鼻声になってしまっている宗司が、弁解するように言うので笑ってしまった。
「あはは、そうなの?でも泣き虫だよね、宗司くんは。知ってるよ、前、夜中に寝てる僕の隣で泣いたの」
そう言うと、一瞬の間の後、呆然とした口調で宗司が呟いた。
「……嘘」
嘘じゃない。
「隣であんなぶつぶつ言われたら起きるってば。しまいには泣き出すし。わりと号泣レベルで。起きるに起きれなくなって目瞑ったまま寝たふりしてただけ」
今さら明かしてやると、宗司は片手で自分の頭を抱えた。
「……。はあー…。そうなの?どこからどこまで聞いたの?」
「全部」
「ああそう。…ほんと、間宮には何もかも筒抜けだよね。俺の心の中」
「聞きもしないのに勝手に宗司くんが教えてくれるんじゃん。何もかも」
「そうだけど」
拗ねたような声を出すのでまた笑ってしまう。
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