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「それでは引き続いて、新郎によるブロッコリートスを行います!男性の皆さんも幸せをお裾分けしていただきましょう」
ブロッコリートス?なんだそれ、と思って、そういえば以前聞いたことがあると思い出す。
確か新郎が独身の男に向かって、ブロッコリーを投げるのだ。次に幸せになるのはそれを受け取った人なのだという。
要するにブーケトスの男版だ。
「はあー…。めんどくさいなー…」
女性と同じように、お集りくださいと独身男性の名前が次々読み上げられる。もちろん冬真の名前もだ。
さっきの式に続いて、夏樹に似つかわしくない完全に浮かれているとしか思えない演出の連続に、冬真はげっそりする。
「…なにあれ。兄貴が持ってるの、なんかそれなりにラッピングされてるけどさ、まじでただの野菜じゃないの?ブロッコリーとかここでもらっても邪魔なだけじゃん。大体、何が幸せのお裾分けだよ。兄貴のやつ舞い上がりすぎだろ」
「まあまあ冬真くん。気持ちはわかるけど、今日は特別。今日だけは特別。ね、笑顔で付き合ってあげようよ」
秋斗がそんな風に困ったように笑って、冬真は渋々、秋斗と共に指定された場所へと移動する。
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