2.さよなら宗司くん

1/14
1814人が本棚に入れています
本棚に追加
/828ページ

2.さよなら宗司くん

二年付き合った彼女と別れたのは、半年前の事だった。 同い年の彼女に、私と一年以内に結婚考えてないのなら別れて、とある日突然言われたのだ。美人だったし、一人暮らしで家事も完璧だったし、何よりウマが合った。だから彼女に不満があったとか、もっといい女が現れるんじゃないかと欲をかいたとか、そういうわけではない。宗司だって、いつかは彼女と結婚するんだろうなとぼんやり考えていた。大事だった。自分のでき得る限り、思いつく限りの方法で一生懸命大事にしていたつもりだった。だけど思いのほか早い期限を提示されて、咄嗟に仕事を言い訳に、決定を先送りにしようとした。誤魔化されなどしてくれるはずもなく、くくりきれない腹の内は、簡単に見透かされていたと思う。それでも少し考える時間さえくれれば、覚悟は決まったような気もする。けれど即答できなかったのは、どこまで行っても、結局はその程度のものだという事だ。彼女の方からあっさり捨てられた。     
/828ページ

最初のコメントを投稿しよう!