友達契約

3/20
77人が本棚に入れています
本棚に追加
/140ページ
 来ないで、来ないで。  声なく呟く唇は震えて。  だが、彼女の祈りも虚しく、無慈悲にも教室のドアが開け放たれる。 「トウコちゃん、床屋さんごっこは飽きたの? 今度はかくれんぼ? もう暗いから、続きはサッコの家でやろう? トウコちゃん、今日は泊まってくれるよね?」  はぁはぁ、ふぅふぅと鼻息も荒い女の子が教室に入ってきた。  ハンプティ・ダンプティ。  誰かが彼女をそう呼んでいたが、言い得て妙だと思う。  だが、ハンプティ・ダンプティの方がまだ愛嬌があるというもの。  教室に入ってきた彼女は、サキコは、少女にとって化け物でしかなかった。 「トウコちゃぁん」
/140ページ

最初のコメントを投稿しよう!