友達契約

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友達契約

 校舎の長い廊下が徐々に夕闇に呑まれていく中、一人の少女が走っていた。  青ざめた顔は恐怖と涙で歪んでいる。  黒い髪は雑な散切り。  放課後の直前までは長かった。  そう、放課後を迎えるまでは。 「はぁ、ひぃ……!」  聞き苦しいまでに息を切らし、足音を悟られぬよう両手には上履き。  あともう少し。  彼女はただ目的の場所を目指していた。
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