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窓から差す太陽の光が、ベッドで眠っている人物のまぶたの内側にまで入り、強制的に目を覚まさせる。
「うぅ…ん、まぶ、し…」
唸りながら目を開ける。ゆっくりと開くその瞳は血のようにほの暗い赤。
その瞳が天井を写して、ああここは宿屋だったとその瞳を持つ人物は思い出す。そのまま窓の方へ視線を向け、空の真上にさんさんと照っている日を手で影をつくって見ながら、もう昼頃になってしまったとぼーっとした頭で考える。
空は清々しいくらいに青く雲ひとつない。
今日は特にやりづらい天気だな。
どこか苦々しく思いながら女は勢いよくベッドから抜け出す。
ベッドから抜け出してよりはっきりする髪の色。その瞳より明るめの赤はそれでも血のように見えて―。
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