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ハルは優しい子だった。
両親を小さい赤ん坊の頃に亡くし、親の顔さえ分からない。そんな中唯一の肉親だった私を慕い、よく後ろを舌ったらずに「ねーたん、ねーたん」と言いながらついて回っていた。
そんな私たち二人を村の人たち皆で暖かく面倒を見てくれた。
ハルも小さいながらに私だけに苦労をかけさせまいと、水汲みや村の人たちの手伝いをしようとしていた。
そして数年後、大きくなってからも苦しい家計を支えようと、出稼ぎに行ってはお金と隣のおばさんからお裾分けをしてもらったとパンをもらって帰っていた。
私は家事をしながらも、隣の農家の手伝いをしたり、針子になったりして手伝い食料を分けてもらったりしていた。
そして帰りは途中でハルと一緒に帰ってその日の出来事を笑いながら話していた。
そうやって、貧しい生活の中でも姉弟で支えあってお互いのどちらかがいい相手を見つけて、人生を生きていくんだと思っていた。
私は弟に秘密を語らないまま、そうなると信じていた。
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