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「じゃ、行くぞ。ああ、もっとちゃんと掴まれよ。腰に腕をまわせ」 「え、あ、は、はい……」  ジュリアンは真っ赤になりながら、そろりと皓の身体に腕を巻き付けた。目が回りそうだった。皓が再び自転車を漕ぎ始めると、ジュリアンはそろりと溜息をついた。最初からこんなふうに躓いてしまっては先が思いやられた。そして自分はなぜ、パブリックスクールを卒業したばかりなのに、同じような学校に通うことになってしまったのだろうと、妙な気分に陥った。とはいえ、歴史ある名門私立校と聞いていたが、ジュリアンの受けた印象では、明け透けなクラスメイト達も学校のスタイルも、アメリカの青春ドラマで見たものに近かった。  幼い頃から両親が不仲だったジュリアンは、常に重い空気が漂う家庭で育った。過敏なジュリアンの胸はいつも不安に占拠され、プレップスクールの寮生活が始まった頃にはもう、無邪気に人と関わることができなくなっていた。  周りからも、輝くブロンド、見る者を釘づけにしてしまう真緑色の瞳、中性的な美貌から、距離を置かれることが多かった。ジュリアン自身も、誰かにじっと見られ話題にされていると感じると、己の性向を見透かされているような気がしてビクビクしてきた。まさに悪循環だ。     
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