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「よく名前覚えてたな。すごい記憶力だけど変だ、それ。ネイティーみたいだ」 「ネイティー?」 「ALTみたいなもんか? うちの学校のは助手じゃねぇからそう呼んでる。コウだ、ジュリアン」 「よ、よろしく……」  皓は椅子に座り直しながら、垂れてきた前髪をうるさそうにかき上げた。 「なんか怖がってる?」 「え?」 「お互い知らない同士だしな。アラタ――分かるよな? あいつには、いかついからって用心棒代りにされてるんだ」  ジュリアンは慌てて首を振った。確かに親しみやすい雰囲気ではないが、話してみて怖いとは思わない。それどころか優し過ぎるくらいだ。 「そんな……凄く感謝してる」 「そうか」 一瞬驚いたように目を見開いた皓から、自然な笑みがこぼれる。どうやら照れているらしい。浅黒い肌とのコントラストが覗いた歯の白さを引き立てる。目元がくしゃっとなる笑顔は、たまらなく魅力的だった。 「で、気分はどうだ?」 「なんか熱っぽいけど平気。こっちに来る前、身体壊してたから、まだ本調子じゃなくて……」 「無理してあいつらに付き合う必要ないからな。それから、水分補給はしておいた方がいい」 「……ありがとう」     
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