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 ポンっと大きな手に肩を叩かれ、ジュリアンは頬を赤らめた。フレッドに囚われていた心は呆気なく、本当に突然、昨日知り合ったばかりの男のことでいっぱいになった。弱っているところに現れ、優しくしてくれた恐ろしく魅力的な容貌をした人に惹かれずにいられるだろうか。でもこんな気持ちは一時の気の迷いであって欲しい。体調が良くなれば、性懲りもなく恋に落ちたなんて馬鹿々々しい勘違いだったと思えるだろう。ジュリアンがそう自分に言い聞かせているうちに、皓は去って行った。ジュリアンは複雑な思いと共に、誰もいない家に一人取り残された。
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