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 放課後のトイレにて。皓は鏡に張り付いて前髪を整えている新太に、ジュリアンについて尋ねていた。週末、ジュリアンからの連絡はなかった。てっきり、すぐに回復したとばかり思っていたが、今日、彼は欠席だった。  新太は合コン前の身だしなみの儀式を中断することなく、鏡越しに皓と目を合わせた。 「熱があるんだってよ。呑み過ぎじゃなかったんだな」  アメリカからの帰国子女というだけでなく、天性の性格からだろう、新太は留学生の窓口のような存在だ。いや、留学生に限らず、クラスの人間の事は、この前髪の具合をやたら気にしている男に聞けば大概分かる。  ジュリアンの件は脇に置いておくことにして、皓はタイルの壁に背を預けた。 「今日はどこの女の子?」 「美奈ちゃんがこの間とは違うメンバー連れてくるっつってたから、同じ高校じゃねぇか?」 「あの子か……」  正直、皓は気が乗らなかった。異性との経験は豊富だと自分でも思う、それでも、本当は女嫌いなのかもしれないと思うくらい、彼女達との会話は皓にとって時として苦痛で仕方なかった。 『おい、ここは日本だ、日本語で喋れ。何度言ったら分かんだよ!』     
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