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ようやく鏡から離れる気になった新太が、同意を求めるように皓を見てきた。新太は何の疑問もなく、正反対とも言えるジュリアンをスティーブの後釜にするつもりらしい。
『まぁ、とりあえず皓がいると女の子たち喜ぶじゃん。むかつくよなぁ。何が行きたくねぇだよ。結局、いつも誰かお持ち帰りするくせに』
紘明は言いながら、わざと皓に水がかかるように洗った手を振った。
『だよな。マジでむかつくぞっ』
新太も紘明に便乗して皓に水を掛けてきた。
『ガキかよ……お前らだって、それなりには楽しんでるだろ』
皓は肘でとっさにガードして、わざと意地悪く言った。
『それなり以下だっ!』
新太がフンと鼻を鳴らす。彼は盛り上げ役に徹しすぎるきらいがあるので、損な性分といえばそうかもしれない。まだ言い足りないらしく、今度は矛先を紘明に向けた。
『だいたい、お前、可愛い彼女がいるくせに、遠慮しろよな』
『お前らだって欲しけりゃ作ればいいだろ?』
平静を装う紘明だが、頬が紅潮している。まんざらでもない癖に、彼女には内緒で合コンには必ず参加する。とはいえ、彼も大勢で遊ぶのが好きなだけで浮気をするような奴ではない。
『俺は欲しいさっ! できたら作ってるっつーの。皓は「面倒、いらない」だろ』
『あぁ』
真面目な付き合いには、皓自身不思議なほど興味が持てない。
『なんでだよっ? 選びたい放題だろ?』
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