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「分かんねぇけど、日本でベジにお目にかかったことはないし、外食しててベジ用のメニューを見たことがない。俺はここに入学する前、五年くらいアメリカに住んでた。向こうでは普通に結構いたからな」 「失礼だったら、ごめんなさい。コウはアメリカ人なの?」  不躾かとは思ったが、つい好奇心の方が勝ってしまった。 「失礼じゃないよ」  その気持ちを汲んでくれたのか、皓は丁寧に応じてくれた。 「父がネイティブアメリカンと日本人のハーフで、母親が四分の三、アメリカ系の白人で、残りが日本人なんだ。ややこしいな」  言い終わると皓は豪快に水を飲んだ。何せ、彼の持っているのは二リットルのペットボトルだ。 「そうなんだ。立ち入ったことを聞いてしまってごめんなさい」  ちびちびとサンドウィッチをかじりながら、彼の絶妙なバランスの上に成り立った容姿を盗み見た。ジュリアンは週末からずっとどうお礼を言おうか、そのことばかり考えていた。よもや一緒に食事をすることになるなんて思いもせず、緊張が重なり過ぎて空腹感はどこかへ行ってしまった。 「色々ヒソヒソ言われるより、はっきり聞いてもらう方がいいよ。イングランドも島国だから混血は珍しいのか?」 「ううん、いろんな人種の人がいるけど……でも、コウみたいな人は珍しい」  どこぞのブランドのモデルだと言われても納得してしまいそうだ。こういう人はそうそういるものではない。     
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