2.

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「も、もう、平気だよ」 「そうか」  信じられないことに、皓の大きな手は優しく、すっとジュリアンの頭を一撫でした。ジュリアンはぎゅっと目を瞑った。大人しく撫でられている場合ではない、普通の反応としては手を払うべきだったのだろうか。ジュリアンがそんな葛藤を繰り広げているとは知る由もない皓は、目を閉じて頭の後ろで両手を組み、壁に凭れている。    投げ出された長い脚、彫刻のように均整がとれた逞しい肢体――肉感的な唇、切れ長の奥まった目、形の良い高い鼻、ハッとするほどセクシーだ。見た目だけじゃない、頭の回転も良さそうだ。ジュリアンとは大違いだった。見た目が貧弱で幼く見えるのに引け目を感じているし、もしもゲイだとばれるようなことがあればと思うと怖い。日本人は小柄な方だと聞いていたが、ジュリアンの思ったほどではなかった。ただ、横にいる人は規格外としても……。 「どうかしたか?」  いくら鈍感な奴でも気付くだろう――先ほどから、痛いほどの視線を感じていた皓は食後のまどろみを中断して目を開けた。途端、大きく緑色の目を見開いたジュリアンが、小動物のようにビクッと身を震わせた。       
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