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 気が付けばジュリアンは、あっという間に新太と紘明、そして皓の仲間にされていた。消極的なジュリアンと、積極的に関わろうとしない皓の態度などお構いなしに、新太と彼に追随する紘明は、なんにでも二人を巻き込んできた。その話をしていた時も、ランチの後自分の席で寝ようとしていた皓の机に、みんなでたむろしていた。 「ないの?」  紘明は間の抜けた顔をして、二度目の質問を繰り返した。椅子に座っているジュリアンは机に座る彼の黒々とした瞳を見上げた。日本に来てから、ジュリアンはやたらと目の色のことを聞かれるので自分も注意してみるようになったのが、日本人の瞳は神秘的な深い茶色をしている。 「うん、ヒロ、イングランドにはないってば」 「アラタ、聞いたか?」  新太は皓の大きな身体を押しやり、皓の椅子の半分を陣取っていた。 「あぁ、英語はお前より達者だっつうの」 「アラタ、くっつくな、暑苦しい……それから、ヒロ、お前の言ってるのは日本文化じゃない」      
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