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「お前を待ってたんじゃねーか!」 「おっと、やめとけ」  駆け出そうとする新太を掴まえて弱ったジュリアンに被害が及ばないようにしてから、皓は空いてる方の手でペットボトルを差し出した。 「コイツ、酔うとセクハラしまくるんだ。ひどい顔色だな、大丈夫か?」 「う、うん……あの、あ、ありがとう……」  ジュリアンは嘔吐のせいで潤んだ瞳を億劫そうに上げ、皓にお礼を言ってくる。皓は思わず彼の瞳に見入った。そんな綺麗な真緑の瞳は見たことがなかった。あまりに見詰め過ぎたせいか、両手でペットボトルを持ったまま肩を縮こまらせたジュリアンは、居心地悪そうに目を伏せてしまった。 「座れよ。コイツは誰かに預けてくる」  皓はぎこちない気分になりながら、一人暴れている新太を引きずるようにして砂浜に戻った。  具合が悪いと頭までおかしくなるらしい。ジュリアンは、皓の脚の間に頭を突っ込んでいた新太を見て、一瞬でも二人が自分と同じだと思ったのを恥ずかしく思った。ただふざけていただけに決まっているのに。そう普通にゲイの人に出会うわけがない。     
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