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そんな妄想と罪悪感の狭間で格闘しながら、1時間半。
「じゃあ、これで完成ですね」
最後の資料を印刷し終わって、ようやく笑顔を見せてくれた。
あ、やっぱり笑顔がいいな、うん。
やっぱり叱られるのは嫌だな。
「もう2時ですね」
涼子ちゃんは軽く肩に手を当てながら、吐息混じりに言った。
あーそれ、マズいヤツだよ。
変な妄想いっぱいしちゃうヤツだよ。
僕は自分の気持ちを戒めるためにも、軽く咳払いをして「今日は」と言葉を繋げる。
「ありがとう。今度からはこういうの、なしにするからさ」
「それ、前も言ってましたけど」
横目で見られて「そうだったかなあ」、笑ってすっとぼけて見せる。
だって確信犯だとバレたら、マズい。――この前も、今も。
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