ACT 1

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挙動不審になりかけた時、机の隅に置いてあったスマホが、一回バイブする。 ーーこんな夜中にメールを送ってくるのは、美月ぐらいだ。 きっと、目が覚めたんだろうな。 美月は夜中に目が覚めるといつも、どうでもいいLINEのスタンプを送ってくる。 昨日はカワウソが、あー眠い、って言ってるスタンプ。 本当に、どうでもいい。 だから僕は気にせず「明日......もう今日だけど、クローズだったよね」、挙動不審を隠すように声のトーンを上げて言った。 でも涼子ちゃんは「そうです」と、急に素っ気ない。 いや、今までも素っ気なかったよ。 でも更にって感じ。 だから僕は思わず「ち、違うんだよ」と言葉を重ねてしまう。 「ほ、本当に、資料の用意ができてなくて」 いま一番知られたくない《罪悪》を口にした僕を見て、涼子ちゃんが首を傾げる。 あれ、これじゃない?  じゃあ白状しちゃダメだな。 ――思った時、またまたスマホがバイブする。
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