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『昨日は言い過ぎたよ。ごめん』
僕の言葉に、涼子ちゃんの表情がフリーズした。それはそうだ。
その前日、響くんとのいちゃいちゃ現場を見た直後――僕はものすごく嫌なヤツに成り下がっていた。
響くんに対してはなんとか感情的にはならないよう抑えたけど、涼子ちゃんには無理だった。
僕には見せない顔を――女性的な顔を――響くんに見せたことに、そして間抜けにもそれを見てしまったことに、恐ろしくショックを受けた。
だからまだシフト中にも関わらず、ランチで下がってきた涼子ちゃんにかなりヒドイ言葉を投げつけてしまったんだ。
それはいま思い出しても、鬼畜じゃないかと思うくらい、ヒドイ言葉。
『どういうつもりで仕事にきてるのかな。ここは学校ではないし、キミはサリンジャーの社員として店を運営する立場なんだ。なのに学生と同じ目線に立って、どうするのさ。まだ大学生気分が抜けてないの? 社会人としての自覚は、ある?』
途端、涼子ちゃんの目に、みるみる涙が溜まる。
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