合戦三日目;弟子と稽古

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納得してないみたいだが、とりあえずはわかってもらえたようだ。 「それに、木刀だって当たればかなり痛いぜ。実際、人を殺そうと思えば殺せるし」 「ほっ、本当ですか!?」 「おう。職人が作った木刀は、鉄でできた刀より切れ味がいいほどだし」 「……木刀、おそるべし」 ちなみに俺の持ってる木刀は自作。当たったとしても切れたりしない。怪我をするなら打撲くらいか。 さて、まずはどこから教えようか。 とりあえず、前回の戦いで気になったとこからやっていきますか。 俺は鶴の後ろに立つ。 「ちょっといつもの、戦うときの姿勢になってもらっていいか」 「えっと、こうですか?」 鶴は少し緊張しているのか、前の時より肩に力が入っていた。 「そうそうそんな感じ。んじゃ、ちょっと触るよ」 「ふぇ?……ひゃっ!?」 「ごっ、ごめん!!」 「いえ……急にだったから、その、よろしくお願いします」 なんだろうこの気持ち。鼓動が一気に早くなる。相手は女の子って言っても七歳だぞ、しっかりしろ俺。 「……もう少し腰を落とした方がいいかな」 「はいっ……」 「こんなかんじ」 俺は鶴の腰回りを優しく持つ。小袖一枚だけだから、肌の感触がほぼ直接伝わってきた。 ……やっぱりしっかり鍛えてあるな。 ゴツゴツとまではいかないものの、しっかりとした筋肉がついていた。 「足もちょっと前後に開いて、しっかり踏ん張れるようにね。重心は前にいったり、後ろにいったりしないように。上半身は右肩を進む方に少し向けて、半身の状態になるように」 「はいっ……!」 背中から、鶴の稽古へのひたむきな姿勢が伝わってくる。 「よっし。大体そんな感じかな。姿勢を低くして、足は少し開いて動きやすいようにしとけば、無駄な動きも減る」 「……流石師匠!!」
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