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納得してないみたいだが、とりあえずはわかってもらえたようだ。
「それに、木刀だって当たればかなり痛いぜ。実際、人を殺そうと思えば殺せるし」
「ほっ、本当ですか!?」
「おう。職人が作った木刀は、鉄でできた刀より切れ味がいいほどだし」
「……木刀、おそるべし」
ちなみに俺の持ってる木刀は自作。当たったとしても切れたりしない。怪我をするなら打撲くらいか。
さて、まずはどこから教えようか。
とりあえず、前回の戦いで気になったとこからやっていきますか。
俺は鶴の後ろに立つ。
「ちょっといつもの、戦うときの姿勢になってもらっていいか」
「えっと、こうですか?」
鶴は少し緊張しているのか、前の時より肩に力が入っていた。
「そうそうそんな感じ。んじゃ、ちょっと触るよ」
「ふぇ?……ひゃっ!?」
「ごっ、ごめん!!」
「いえ……急にだったから、その、よろしくお願いします」
なんだろうこの気持ち。鼓動が一気に早くなる。相手は女の子って言っても七歳だぞ、しっかりしろ俺。
「……もう少し腰を落とした方がいいかな」
「はいっ……」
「こんなかんじ」
俺は鶴の腰回りを優しく持つ。小袖一枚だけだから、肌の感触がほぼ直接伝わってきた。
……やっぱりしっかり鍛えてあるな。
ゴツゴツとまではいかないものの、しっかりとした筋肉がついていた。
「足もちょっと前後に開いて、しっかり踏ん張れるようにね。重心は前にいったり、後ろにいったりしないように。上半身は右肩を進む方に少し向けて、半身の状態になるように」
「はいっ……!」
背中から、鶴の稽古へのひたむきな姿勢が伝わってくる。
「よっし。大体そんな感じかな。姿勢を低くして、足は少し開いて動きやすいようにしとけば、無駄な動きも減る」
「……流石師匠!!」
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