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1615年、大阪夏の陣。西軍最後の砦となった大阪城は、紅蓮の炎の中に姿を消した。当時20歳だった俺は、西軍側として参加。戦況は絶望的だった。
大阪冬の陣の休戦時。東軍総大将、藤川家盛によって大阪城の外堀だけでなく、三の丸、二の丸も埋め立てられ、大阪城は事実上丸裸となった。
そんな絶望的な戦況の中、西軍側の武将たちの活躍により、戦況は一気に西軍が優勢となった。だがその武将たちの活躍も、敵の圧倒的な兵数を前にあと一歩のところで手が届かず、敗走を繰り返すようになった。
大阪城が陥落寸前の時だった。当時俺の戦友で、西軍総指揮を任せられていた人物でもある幸正と共に、決死の作戦にでた。
幸正の兵2000を引き連れ、俺たちは家盛のいる本陣、兵20000で固められた要塞へ突撃した。
狙うは家盛の首のみ。俺は幸正の援護を行い、獅子奮迅の大活躍を見せた。
幸正は家盛へ奇襲をかけた。だが彼の槍は家盛の鎧をかすっただけで、討ち取ることができなかった。
幸正は討死。それを知った俺は急いで退却命令を出した。西軍総指揮官を失った俺達に、戦う気力は残っていなかった。
その後すぐ、大阪城は陥落。家盛は天下統一を果たした。
西軍総大将だった秀樹はその場で処刑。西軍の主要人物もそれに続くかのように処刑された。
一方の俺はすぐにその場を離れて、命からがら九州へ逃げた。
……多分あの場に残っていたら、俺も処刑されていただろう。
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