合戦一日目;浪人武将と7歳少女との出会い。

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少女は舌を出して、目にいっぱいの涙をためていた。やっべ。 「と、とりあえず、入ってお話しようかっ!」  このまま外に放り出したら、俺の家が目立っちまう。外で政府の奴らもうろうろしてるし、ここに集まられたらまずい。 「うん……」  頷くと、大人しく建物の中に入った。 俺と少女はいろりを挟んで向かい合って座る。少女は背筋をピンと伸ばした。 「鶴と申します。7さいです」 「俺は、足利十兵衛」 「えっと、その、師匠の弟子にしてください!」 「急にそんなこと言われても」  いきなり土下座モードに入った少女に、顔をあげるように言う。 「俺はいままで弟子を取ったことなんてないし。そういうのはほかのやつに頼んでくれないかな」 「そんなっ……でも!」 「とりあえず涙拭いて。しばらくここにいていいから。落ち着いたらすぐに家に帰るんだ」 「でもでも!」  駄々をこねる少女に頭を抱えた。どうしたら良いんだ。 「これ持ってきました!せめてお話だけでも聞いて下さい!」  少女は手に持っていた藁の袋から、大量の白い粒を取り出した。 俺はそれを見て、少女の鼻先に当たりそうになるくらい顔を近づけて言った。 「もしかしてそれ……米?」 「はい!」  喉がゴクリと音を鳴らす。米なんて食べるのは一年ぶりだ……! 「けど、俺米なんてもらっても炊けないし」 「私が炊きます!」  少女は息継ぎを忘れて言う。 「だから、私の話だけでも聞いて下さい!」  少女の熱心な説得に、俺は仕方なく頷いた。 「……わかった」  少女は「やったー!」と声を上げる。喜びが体全体から伝わってきた。 そんな少女の姿をみて、自然と笑みが溢れた。
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