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「淳美」
声を掛けられて、淳美はハッとなった。
幼馴染の野北 真治が心配そうに彼女を見つめていた。手には朝飯だろう、コンビニの袋をぶら下げている。
彼は敦美より2歳上。
隣に住んでいて、小中高と、一緒の学校に通っていた。男は面倒見がよく、敦美も懐いていた。上京する時に、淳美の母親が心配して彼の近くに住まわせたのだ。
男は『俺は子供の頃から、お前の世話をするように運命づけられているんだろうな』などと言いつつ、淳美の面倒を色々と見てくれていた。
「こんな朝早くに、どうした。しかも駅から家に向かって歩いているなんて」
「……」
もう限界だった。彼女は男に縋って泣き出した。
「敦美?! 」
とりあえず、野北は自分の部屋に彼女を連れて行った。
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