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デスクに戻った俺は朝買ってきたサンドイッチを食べながら今度こそ自分の仕事を片付け始めた。その途中でまたいろんな部署の人間に話しかけられたりしたが、進捗は
おおむね順調で定時である18時には帰り支度も済んでしまった。
一之瀬との約束まではまであるから、ぶらっと買い物でもしていくかと、ホテルの最寄駅に併設された商業ビルに向かった。
仕事帰りのOLやサラリーマン、学生が行き交う賑やかなフロアで猫用の雑貨を見ていると少し離れたところで楽しげに話す女子高生の声が耳に入ってきた。
「ーーでね、アヤちゃんも先輩のことが好きなんだって、超お似合いじゃん? 私なんか出る幕ないっていうか……」
「でも先輩を初めて見た時運命感じた! っていってたじゃん。運命の番とかいうやつなんじゃない?」
「もう子供じゃないんだから、そんなの信じてないって」
彼女たちの言葉がぐさぐさと胸にささるような気がした。俺だって昔はその“運命の番”というのを信じていた。
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