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「ぐ、う……っ」
受け入れる為に出来ていない俺の身体には負担が大きく、穿たれる度に襲い来る苦痛で、いちいち思考が霧散するのが煩わしかった。
体躯の代わりに、頭脳の方で恵まれたらしい俺の唯一の逃げ場にも侵食してくる熱をそれでも拒めない。答えなんて出てこないだろうこの問題に対して考えることも許してくれない、酷い弟だ。
「兄さん」
いや、酷いのは俺の方だ。力で勝てないから抵抗しないというのは体のいい言い訳。
まっさらな弟の熱を感じながら必死に名前を呼ばれるたびに、幼い頃に覚えた禁忌が頭をもたげる。幾重にも幾重にも封をして10年もかけて忘れようとしていた想いが身の内から滲みでてくる。
お前が欲しかったんだ。浅はかで愚かな俺は、この状況で与えられる苦痛を悦んでいた。
「ま、さと」
「っ!」
そんな俺が名前を呼ぶと、弟は怯えたように体を跳ねあげて大きな手で頭を抱え込んだ。
「俺を、呼ぶな……!」
はっきりとした拒絶の言葉に傷ついたのは俺ではなく、雅人のほうだったらしい。眉間には皺が深々と刻まれて、悲壮しきった表情を浮かべていた。
「ごめん、な」
「……っ!」
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