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ともあれこの一件でジャムオジには、臆病者のレッテルが貼られることになる。それはおそるべき恥辱であり、また多くのハンデを背負うということを意味した。重要な祭祀からはことごとく外され、有力者の企画する実り多き狩に誘われることもない。雨季はじまりの風物詩、チャモカツの手づかみ漁には参加できず、漁後のうろこ取りしか任せてもらえない。そして何より、女達からまったく相手にされなくなってしまったのである。物好きなバタンコを除いては。だがそれも今は―。
* * *
夜は更けて、炊事を終えた余所の家々のたき火は勢いを弱め、眠りを前に、猛獣よけの小火がちらほらするばかりとなった。暗闇の中、肘枕しながら遠くのあかりに見入っていたジャムオジもようやく身を起こし、角のちびた火打から器用に火をおこす。
オレンジ色に浮かび上がったブンブクの寝顔はやすらかで、汚れを縫って幾条も走る涙の跡がおかしかった。手はホネの笛をにぎりしめたまま。最後にバタンコが立ち寄った際置いていった、イノブタのふとももから抜き、作ってやったもの。この器用さも、ジャムオジを一層軟弱に見せる原因となっていた。
「明日は水浴びしないとな」
そうつぶやき、父は子に寄り添った。
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