第二章 ブレッド・ファイターズ編

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 相変わらず微妙に素直ではない彼の姿を見送りながら僕は、本日のお手伝いを始める。  それはパン屋の売り子だ。  この国のお金の単位はなぜか“エン”で、数えたかたも十円百円、といった物なのでやりやすい。  突然一ドルや、一ポンドになっていなくて良かったなどお供居つつお客さんの応対をする。  このお店にも常連さんなどがいて、焼き立てのパンを朝に買いに来る人が結構いる。  それはそれで嬉しいのだけれど、時々なぜか僕を口説いてくる客がいる。  そこは女の子にすべきなのだろうが、この世界はゲームとは違い同性同士でも恋人同士になったり結婚できたりする。  だから不思議はないのだが、 「元居た異世界では僕はほとんど口説かれなかったのに。元の世界では男に告白されたり襲われそうになって返り討ちにしたけれどさ……僕ってそんなに男らしくないのかな? 可愛い可愛いってみんな言うし」  呻くように僕は呟き、くるっと厨房の方を見る他の職人は僕からさっと顔をそむけた。  そのまま、“ブレッド道”が一つ、技を磨くために何かを始めようとしている。  これでは邪魔は出来ず問い詰められない。  そんな悔しさを抱えたままお店の手伝いをして、お昼休みに入る。  余ったパンや試作品などを味わいながら昼食を追える。  それから必要なものを一通りそろえる。  小麦粉と水だけでいい加減いけるんじゃないかと僕は言われたが、僕は遠慮した。  そう言ってもらえるのは昔の僕ならばうれしいだろうが、今はお断りである。  そんなこんなで材料を求めて、リュックサックと武器を装備して“西の森”に向かったのだった。   --------------------------------------------------------  
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