第二章 ブレッド・ファイターズ編

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 厨房にやってきた僕は、すでに店の人が準備に入っているのを目撃する。  全員猫耳がついていたりするのは、この世界が獣耳の生えた人……つまり獣人の世界だからだ。  人間の男も女もみんな獣耳がついており、獣耳がついた女の子なんてそれはもうとても可愛い。  やはり可愛いもの+可愛いものは正義である。  それはいいとして、そこで店員の一人が小さく何かを呟いたかと思うと、むきっと筋肉が膨れ上がり服がはじけ飛ぶ。  筋肉強化の魔法ではなく、これはこの人物の本来の能力である。  この国には“ブレット道”というものがある。  なんでも、“心技体”の全てがそろってこそ、“真のブレッド”が出来るとかなんとか。  あらゆるものはこのブレッドに続いていくらしい……。  この国の住人のように思わさせられていた時は当然のように感じていたが、今ならば言える。  これは絶対におかしいと!  しかも魔法など邪道! 真のブレッド作りを極めし者は、魔物なんて小麦粉で十分だとか何とか。  ちなみに僕は記憶が戻る前は、特殊能力(チート)を使うことがとても恥ずかしい事のように思っていたが、今ならここで一般的だと思われているものに対して反論できる気がする。  こんな狂気の世界でも、目的のためならば、従わねばならない。  そう思いながら今日はさっそくクリームパンを作り始める。  実はこれ、“彼”の好物でもあるのだ。  そう思いながら店に並べるそれを作って、焼きあがってから上手く焼けているかを確認して店に並べていると、 「……そのクリームパンを一つ」  いつものように“彼”が店にやってきたのだった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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