本当に悪いやつら

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にある人なのだろう。 「加瀬首相の話をされているの聞いていましてね、口をはさみたかったんですが、盛り上がっていらっしゃるので我慢しました」 「助けてくださいよ。ご覧になっていましたでしょ?」 「ははは。さっきのお爺さんはテレビや新聞の言う通りに加瀬さんの悪口を言っていましたね」 「そうなんですよ」  我が意を得たりとばかりに私は席を隣に移り、須賀野氏と飲むことにした。彼は冷静に政治の話をする人だった。 「特に安全保障においては、加瀬首相は戦後の歴代首相でナンバーワンです。米露の大統領とここまで互角に交渉できる人がいましたか?」 「いません」  その通りだ。北朝鮮が日本上空にミサイルをバンバン飛ばしている非常時にこの首相を変えるなんて常軌を逸している。 「加瀬さん、すごくいいんですけどね。でも、ひとつだけ残念なことがあるんです」 「はい?」 「それは消費税アップを二度も見送ったことです」 「えっ?」  意外な言葉だった。 「国の借金は既に一千兆円を超えているんですよ。誰かがいつか借金を減らす方に舵を切らなければ、国家の破滅です。将来の子供たちのために今生きている私たちは苦しくても耐えないといけません」
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