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「まあ、でも、デフレで不況だし……大体、間接税って逆進性が強いじゃないですか。金持ちより貧乏人に負担が重いし」
「だから、軽減税率を導入するんじゃないですか。食料品など生活必需品には税金を軽くします。増税だけじゃなくて、そのへんの改革もきちんと行う予定にしていたのに、加瀬さんが先延ばしにしてしまった」
やけにこの人、消費税を上げたがるなと思って名刺交換をしてみたところ、須賀野氏はやはり財務省の人だった。それもかなりの役職者だ。
「山田さん、バブルの頃は社会人でしたか?」
須賀野氏が私の名刺を見ながら尋ねた。
「はい。まだ入社二~三年目でしたけど」
「狂っていましたよねえ。あの時代は」
確かにそうだった。日本中が踊っていた。会社の残業は青天井で、毎日のように終電後に一杯やってはタクシーで帰宅していた。当時若手の私ですらタクシーチケットを一冊持っていたほどだ。現在は管理職だが、タクシーチケットなど見たことがない。いや、それ以前に残業時間が厳しく制限されており、深夜残業などもってのほかだ。
不動産の値段は天井知らずに上がっており、都内や近郊の家、マンションは現在の軽く二倍以上の価格がざらだっ
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