一、 一人暮らし始めます!

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「こ、こんにちわあ……、あはは」 ぺこっとお辞儀したら、不機嫌そうに漫画を閉じてこっちに近づいてくる。 「え、あの、気にせず立ち読みしててくださいよ、息子さん」 「清伍だ」 「……清伍、くん、は失礼か。清伍さん?」 おずおずと名前を呼ぶと、怪訝そうに眉を顰めた。 いや、君が名前を言ったんじゃないか。俺だって別に呼びたくないのに。 「呼び捨てでいい」 「できませんよ。保護者を呼び捨てなんて。あ、失礼しますね」  迫力に圧倒されて息が詰まりそうだったので急いで飲み物の方へ逃げた。 冷蔵庫はもう電源入れてくれてたから、帰ったら使えるかな。 じゃあ、お酒と牛乳と、あとお茶と――。 ぽいぽいと籠に詰め込んでいたら、スッと隣に近づいてくる。 「せ、清伍くん?」 「飲み物はスーパーの方が安いだろ。馬鹿じゃねえの?」 「そうだけど、……今日は疲れてるから」 思わず君に関係ないじゃないか、と言ってしまいそうになった。 「あんた、親父にはヘラヘラ笑うくせに、なんで俺には適当なんだよ」
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