一、 一人暮らし始めます!

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「し、仕事だよ。仕事で疲れて帰ってきた保護者に、愛想わるく接するわけないでしょ」 「俺だって仕事して帰ってきた。俺にももっと笑えよ」 「……わかりました!」  なんで睨みつける人にまで笑わないといけないんだ。実朝さんはにっこり、こっちも優しくなる笑顔なのに、君は全く笑わないじゃないか。 いつも怒った顔で、こっちを睨むだけのくせに。 「では、失礼しますね」 籠をレジに持っていく。暗にもうついてこなくていいよって意味だった。 なのに彼はあろうことかお金を払った俺の品物を袋ごと奪った。 「ちょ、いい加減にしてください」 「重いから持ってやる。幼稚園の裏だろ、送る」 「良いです。俺は今日からあそこには帰らないんですってば」 奪い返した後、後ずさる。 この人、強引すぎる。 そしてとても、眉をしかめたくなるような。――嫌なにおいがする。 体臭とか香水じゃない。 けれど、逃げ出したい、そんな危険な匂いがする。 「失礼します」
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