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頭を押さえながら、瞬きもせずに目を見開き何か考えているようだ。
「……まだ何か?」
「お前、もしかして702に引っ越してきた? 今日?」
「え……」
嫌な予感がした。この人のこの驚き方に、俺も驚いて固まった。
開けたはずのオートロックのドアが閉まると、彼はポケットから鍵を取り出す。
そして一階のオートロックのカギを開けた。
自動ドアが、ゆっくりと開く。
沈黙の中、機械のモーター音だけが響く。
「お前、ストーカーじゃねえだろうな」
「なんで君のストーカーなんて」
「いや、親父の。……親父と義仲なら今、703号室にいるんだけど」
その言葉に思わず持っていたコンビニの袋を落としてしまった。
お酒は大丈夫だろうか。
そうじゃない。今、703って言ったよな?
「えええ、保護者が隣って不味いよ。引っ越してくださいよ」
「俺たちだってホテルとか、一軒家とか色々探したんだよ、だが親父が――」
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