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たった一つのおにぎりを奪うのを躊躇してくれたらしい。
申し訳ない。
「良かったら、先生もお寿司を食べていきませんか。8人前ほど頼んでしまって」
なぜ二人と子ども一人で八人前?
「カレーに失敗して頼んだんですが、お寿司は日持ちしないのにうっかりしてました。入ってください」
「い、いえ、俺は大丈夫です。おにぎりありますので」
「おにぎりだけじゃお腹空きますよ。それは義仲にでも。いつも義仲がお世話になってますし園での様子も聞きたいですし」
「いえ、本当に、大丈夫ですので」
走り出し、隣の玄関に鍵を射し込もうとして、思いっきりぶつかった。
ぶつかったのは清伍君の肩、にだ。
「あわわわわ」
殺される。俺を見下ろす清伍君の顔は、暗殺者のように冷たい。
もしかして階段で登ってきたのかな。七階に?
「食べていけ。ここの寿司は、俺も仕事で食べに行くが美味い」
「……や、本当に俺、こうゆうのは……」
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