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砂場で、どこまで掘るんだというほど深く掘って、いじいじしていた義仲くんが、スコップを放り投げると校門を見た
「義仲、今日も元気だったか」
「にいによりはね。ちゃんと寝た?」
「今から寝る」
少し顔色が良くないせいかいつも以上に不機嫌に見える彼が、俺の方を見た。
「帰るぞ」
「え、あ、うん。よっちゃんのご用意してくる」
「義仲は、くそじじと精華と本家でご飯。俺は――あんたがいいから帰ってきたの」
「あと15分で上がり」
「じゃあ車の中で寝とくから、帰れそうだったら駐車場に来てな」
そんなに眠いのに、帰ってきてくれたんだ。
……俺の居るあのマンションに?
そう思ったら、耳が生えてきそうだったので慌てて頭を押さえた。
「や、やっちゃん。さようなら」
「さようならー。おふたりでごゆっくりどうぞ」
何処でそんな言葉覚えてくるんだろう。
そう思いつつも気持ちはとっくに清伍くんへと走り出していた。
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