おとなりさん(たち)が好きすぎて

5/11
1043人が本棚に入れています
本棚に追加
/199ページ
砂場で、どこまで掘るんだというほど深く掘って、いじいじしていた義仲くんが、スコップを放り投げると校門を見た 「義仲、今日も元気だったか」 「にいによりはね。ちゃんと寝た?」 「今から寝る」 少し顔色が良くないせいかいつも以上に不機嫌に見える彼が、俺の方を見た。 「帰るぞ」 「え、あ、うん。よっちゃんのご用意してくる」 「義仲は、くそじじと精華と本家でご飯。俺は――あんたがいいから帰ってきたの」 「あと15分で上がり」 「じゃあ車の中で寝とくから、帰れそうだったら駐車場に来てな」 そんなに眠いのに、帰ってきてくれたんだ。 ……俺の居るあのマンションに? そう思ったら、耳が生えてきそうだったので慌てて頭を押さえた。 「や、やっちゃん。さようなら」 「さようならー。おふたりでごゆっくりどうぞ」 何処でそんな言葉覚えてくるんだろう。 そう思いつつも気持ちはとっくに清伍くんへと走り出していた。
/199ページ

最初のコメントを投稿しよう!