一、 一人暮らし始めます!

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「私たちのために掃除をしてくれている風月先生の手が汚いわけないでしょう」 「いえ、本当に、汚いです」  ぞうきん、真黒ですし。 よく見れば段ボールが壁に積み上げられてるし、ほこり臭い。 「いつまで触ってるんだ、セクハラじじい。今度こそ寿司が来たゾ」 「やっと来たか。先生、座っててください」 バタバタと走っていく実朝さんと、俺を見下ろす清伍君。 ああ、行かないで、実朝さん。 「ここに三人で住むの?」 「まあ一時的に、な。俺は寝ればどこでもいい。……流石に次の休みに片付けるけど」 段ボールが摘まれた部屋。高給そうなテーブルと家具。 このマンションは一人暮らし用のマンションだから仕方ないけれど、キッチンとリビングは繋がっているタイプで、あとは寝室とロフトしかない。 二人と子供では、狭い、よなあ……。 「俺、やっぱ帰りますので」 「今更帰すと思ってんの?」
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