一、 一人暮らし始めます!

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「……」 俯いて項垂れてしまう。絶望というのか、逃げられないと分かった瞬間、抗う気持ちが無くなった。 「来いよ」 「清伍くんって、威圧的で怖いね」 「――は?」 「口調が乱暴で、嫌われてるみたいで、いや、嫌われてるのか。強く否定されてる気分になる」 嫌い。近寄らないで。仲良くしてとは頼んでないよ。 入っていいと、近づいていいと、俺が決めたラインに土足で入ってこないで。 「せんせい、ばか!」  張り詰めた空気の中、両手でおにぎりを食べていた義仲くんが大声を上げた。 「――え?」 「しょうにいは、パパより優しいししっかりしてるし、こわくない! せんせいは、まったくわかってない! おれ、せんせい、だいっきらい!」 「え、ええ?」 「おすし食べなくていい。ガリばっかたべてろよ!」 「……いや、いいよ。帰る」 すり抜けようとした俺の腕を、彼が掴んだ。 「にゃっ」 咄嗟に叫んでしまったが、清伍くんは横を向いて『悪い』と謝った。 「俺が出ていくから、大好きな親父と食べてくれたらいい」
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