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飛び散ったお酒が、俺と実朝さんの服を濡らした。
実朝さんはまだ隣だったから良かったけど、直撃した俺は頭から被ってしまった。
「おい、タオル」
開けられた段ボールの中からタオルを取り出し、ガシガシと頭を拭かれた。
「ふぁっ」
だ、駄目。耳を刺激しないで。アルコールと一緒に耳が、出ちゃう。
「や、やめっ」
びくびくと体が震えが、気づいたのか清伍くんの手が離れた。
「にいに、パパには?」
「あ? キッチンの手拭きタオルで渡しとけ。――先生、着替えた方がいいんじゃねえか?」
服も濡れてしまった俺を見て、気遣ってくれてるのか、そう言ってくれた。
好都合だった。
「いや、帰ります。帰ってお風呂でも浴びるよ。お邪魔しました」
今度こそ帰れると、立ち上がる。
ビールでお寿司を流し込んでいる実朝さんと、それを気遣っている義仲くん。
清伍くんは俺に怖いと言われた手前、強引に座らせようとはしなかった。
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