一、 一人暮らし始めます!

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……え? ドアの前から声がして思わず動きが止まった。 「鍵かけてねえから、不用心すぎる」 「……あ、もしかして見張っててくれたの?」 返事はなかったけれど、代わりに足音が聞こえてくる。 「おやすみ。俺が隣で悪かったな」 「ま、まって、いや、あの、あれ」 耳が隠れない。仕方ないのでタオルを頭にかぶせてからドアを開けた。 するとほとんど進んでいなかった清伍君がこちらを見た。 「――っなんて格好してんだよ」 「え、お風呂上がりだから、だよ」 ズボンも穿いているし、上は着てないけどタオルで隠れてるはず。 「あり、がとう。でも俺、男だからそこまでしなくても大丈夫だし」 「俺が嫌なんだよ。馬鹿じゃねえの」 また怒鳴られて、思わず目をつぶってしまった。 すると、小さく『悪い』と謝られた。 「いいよ。俺、一応捨てられた育児放棄の子どもだからさ、おじさんとおばさんが甘やかして怒らなかったせいか、――怒鳴り声に萎縮しちゃうんだ。君が怖いだけが理由じゃない。じゃあ、おやすみ」
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