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熱い刺激に目を見開く。信じられない。
「――好きなんだけど、聞こえてる?」
もう一度そう言われて、俺は横に何度も首を振る。
ブンブンと超高速で振ったあと、もがいて壁に沿って逃れた。
――好き?
俺を?
なんで?
「俺、清伍くんが同性だから嫌ってわけじゃなくて、――本当に人間を好きにならないって決めてるんだ。恋愛とか考えたこともなかった」
人間は好きにならない。俺を捨てたのも人間。
俺が猫だと知ったら、きっとまた捨てられるから。
だから彼は危険だ。ぐいぐいと、距離もなく近づいてくる。
彼は危険な人だ。
「じゃあ考えてくれよ。あんたが好きだ」
迷いなく距離を詰めてくるのは、俺に触れたいから。
俺の身体が欲しいからだ。
「一生、その言葉だけ聞こえない」
「じゃあ、耳元で言ってやる」
「や、やだ」
逃げ出して、寝室へ飛び込むと鍵をかける。
けれど彼は、真剣には追いかけてこなかった。
「……悪いけど、まじだから」
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