1045人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺だって、本当に無理。他人とか本当に無理!」
「そんなこと言って、親父には心開いてるじゃねえかよ。信じられねえ」
「仕事だから。いい加減にして。俺の家から出て行ってっ」
ずるずると押さえていたドアに背中を這わせながら座り込む。
鍵をかけているけれど、侵入してきそうで不安だった。
何故か、心が不安で発狂してしまいそうで、怖い。
「俺は、あんたに多分、ずっと笑ってほしかったんだと思う。あんたに、俺を見てほしくて、執着してしまったんだと思う」
「聞きたくない。止めてってば」
「……悪い。でも俺は、納得できないから諦めない」
「やめろってば!」
ドアを叩く。出て行けと、うるさいと、拒絶したくて。
「……」
ドアの向こうの彼はどんな表情をしているのか俺には分からない。
けれど小さく息を飲む音と、遠ざかる足音だけが聞こえてきた。
――最悪だ。
最初のコメントを投稿しよう!