一、 一人暮らし始めます!

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俺が傷ついてるからって、誰かを傷つけていいわけじゃないのに。 けれど俺はきっと、自分が傷つけられた分だけ暴言を吐いて彼を傷つける。 関わらなければ、そんなこともないのに。 「風月せんせーい」 「……?」 「聞こうと思ったわけじゃないけど、お風呂場から聞こえちゃって。ごめんね、……一人で泣かないで」 玄関の向こうから聞こえる実朝さんの声に、俺は鍵をあけて廊下へ出ていく。 耳は、隠れてくれないのでタオルをかぶったまま。 「実朝さん……」 玄関から少しドアを開けて顔を覗かせると、心配そうな顔の実朝さんがホッと胸を撫でおろした。 「お寿司、結局沢山余っちゃったんだ。タッパに詰めてみたんだけど、良かったら食べて」 一人分ぐらいのお寿司が入ったたっぱを渡され、何故か素直に受け取ってしまった。 人は嫌いなのに、実朝さんの優しさにはなぜか縋りたくなる。 「俺……」 「良かった。風月先生みたいに可愛い人は、泣いたら駄目だよ。泣くなら、私が抱きしめて隠してあげるよ」
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