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「……俺、そんな」
「先生には、笑ってほしいから。私にできることならなんでも言って。こう見えても二人の子供を育てる、人生の先輩なんですから」
胸を張って威張る実朝さんが、何故だかすごく愛しい存在に思えた。
欲情とか違うんだけど、世界中が実朝さんだったら俺はこんなねじ曲がった性格にはならなかったと思う。
「一瞬だけ、玄関に入ってもいい? 何もしない、というかあと数分で帰らなきゃ義仲の寝る時間だからね」
俺が頷いて玄関に招き入れると、彼は嬉しそうだった。
「あのね、内緒だけど義仲は狸の一族のお嬢さんとの子どもだから、四分の一、クォーターっていうのかな。先生も、そうですよね?」
「え?」
「あれ、違います? だってあそこ、人外の子専門ですしたよね?」
戸惑う俺の様子に、実朝さんも困惑していた。
「クォーターだから将来的に、狸の特徴は出ないかなって思てるので、清伍にも言っていないんですよ。うち、五城楼家は珍しくもないけど、あ、清伍は違いますよ。彼は何も混ざってないのですが」
「……よっちゃんが狸」
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