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「ごめんね。うち、五城楼家は分家とか本家とか、派閥とか面倒で本家に戻るよりはマンションにいる方が気が楽なんです。だから、先生のプライベートを邪魔しちゃうかもですが、しばらくここに居させてほしいんです」
「い、いえ、実朝さんが謝ることは何も。それに俺の方がすぐ出ていくかもですので、気にしないでください」
「大丈夫です。ここのマンションの権利は買い取っておいたので、先生さえ良ければ気兼ねなくいつまでもいてくださいね」
ひ、ひえー。この8階建てオートロックマンション買い取ったのか。
おじさんの知り合いがオーナーだったから安心していたのに、実朝さんがオーナーなにか。
「ね。先生」
念を押す様に言われ、しかもあまったるい声にぼーっとしてしまう。
反則だよなあ。実朝さん、優しいし行動力あるし、声まで甘いし。
「じゃ、じゃあ、お言葉に甘えさせていただきます」
「うんうん。私も、義仲がお世話になってる先生のお役に立てれたら嬉しいので」
では、と本当に長いせずにそのまま帰って行ってしまった。
いや、義仲くんがいるのだからそれが当然の行動なのだけど、……実朝さんはずっといてくれても嫌じゃないと思う自分がいる。
「おやすみさない、先生」
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