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お休みさない、先生、か。
新鮮で口の中にとろけそうなほど甘いトロを食べながら、実朝さんの言葉を反芻する。
するとじわりと広がる甘い熱に、身体がゾクゾクと痺れてしまう。
なんでだろう。実朝さんのことを考えると幸せな気持ちになる。
お寿司を食べながら、ツンと鼻を刺す痛みにじわりと涙が浮かぶ。
ああ、わざびだ。お寿司には必要不可欠だけど、これにはちょっと多すぎるみたい。
まるで……清伍くんみたいだ。清伍くんのことを考えると、胸がざわざわする。
なんだか落ち着かなくて、不安や焦り、戸惑いが押し寄せてくる。
多分、俺の内側に入り込もうとするからだ。
これ以上入ってこないでほしいってラインから入ってきて、触れてきたから。
「……」
お隣の二人のことでこんなに悩むなら、俺には一人暮らしは無理なんじゃないだろうか。
毛布に包まりながら、そんな不安に駆られながら一人暮らし一日目は幕を開けそして閉じたのだった。
―――――――
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