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「うちの子は、蛇のように執念深いですよ。……好きなことに対する努力は怠らないと言いますか……自慢の息子です」
「そうですか。よっちゃんもいい子ですし、流石ですね」
思ってもいない言葉に、感情が乗らない。
義仲くんさえ俺に冷たい視線を向けてくる始末だ。
「……先生みたいなお嫁さんなら、私も清伍を応援したくなります」
「え、お嫁? え?」
「でもまあ、親子ですね。清伍に脈がないなら、私にしときますか?」
「ばっ、ご、ご冗談を。あはは」
危ない。馬鹿じゃねーの、と言ってしまいそうになった。
危ない危ない。
「ぱぱ、せんせい、おとこのこだよ」
「パパはもう女性はこりごりだよー。先生みたいに距離を持ってくれる人がいい」
「社長、リアルすぎます。ご子息に聞かせていいお話ではないのでは?」
秘書の冷たく鋭い一言に、あはは、と実朝さんは笑ってごまかした。
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