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「……べつにせんせいで、がまんしてあげてもいいけど」
「よっちゃん?」
「パパとにいにだけじゃ、華がない、から」
バナナを食べ終わった手を、ウェットティッシュで拭きながら大人びた台詞に面食らってしまう。
というか、俺の位置は花なのか。
どう返答していいのか迷っていたら実朝さんが噴出した。
「子ども公認で逃げれなくなっちゃいましたね」
「さ、実朝さん」
「本当に花嫁になったら、清伍と義仲の二次の母だよ」
「な、なりません! 先生をからかうのは止めてください」
「……社長、同感です」
秘書の言葉のあとため息と同時に幼稚園に到着した。
まだ誰も来ていないので、セーフだった。
「じゃ、じゃあお仕事頑張ってくださいね」
やんわりと距離を出す。すると分かったのか、実朝さんが残念そうに肩をすくめて義仲くんにキスし頭を撫でると何も言わずに去っていく。
「あーあ。あれ、けっこうおちこんでる」
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