二、お手伝いさせていただきます!

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「くっそ。早く帰るつもりだったのに、最近仕事が多いっての」 「……おかえりなさい。今日はお外で元気に走り回って疲れて眠ってますよ。かけっこ、一番でした。あ、こちら荷物です。明日はお弁当ですので」 「おい、なんで目線合わせねえんだよ。襲うぞ、こら」 「ひっ」 早口で報告しつつ職員室へ走る準備をしていたのを気づかれた。 思わず身構えると、『悪い』とまた謝られた。 「さっき、向こうで痴漢があったらしくて野次馬で渋滞しててさ。危ないから車乗ってけよ」 「い、いや、いいです。保護者のお車になんて」 「ジジイのには乗ったよな? あとあんたが痴漢に触られるなんて俺が耐えられねえんだよ」 「痴漢も男なんかに触りたくないでしょうから、大丈夫です」 「……あんたは、綺麗だから。乗らねえとジジイにあることないこと言ってやるぞ」 此処からマンションなんて歩いてすぐなのに、どうしてそんなに頑ななんだろうか。 これが好きな人に何かしてあげたい精神なのだとしたら、ちょっと理解してあげられない。 「俺、優しくされても好きにならないよ。それでもいいの? 時間の無駄だよ」 冷たく突き放す。次はないように。 なのに清伍君の目には迷いがない。 「だから、あんたが痴漢に会うのが耐えられない。優しさじゃねえよ、俺が嫌なだけ」
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