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「……そこまで言うなら、ほんと、好感度とか上がらないからな」
「そこまで念を押されたら傷つくからやめろ」
なんて弱気な発言をされると、俺に残っているなけなしの良心が痛む。
彼を傷つけたくはない。近づかないでくれたならこんな風に遠ざけるために、ひどい言葉を吐かなくて済むのに。
「……」
鍵をかけセキュリティの電源を入れて、重たい足で彼のあとをついていく。
言葉は確かに乱暴で怖い。
けれど、義仲くんを優しくチャイルドシートに乗せる姿は、乱暴じゃなく本当は繊細で優しい人なんだろうなって思わせる。
「先生、さっさと乗って、って」
振り返って車のドアを開けてくれた清伍君は俺を見て、少し怒った表情になった。
「なに?」
「な、なんで枕持ってんの」
「ああ、毛布に包まって寝てたら、身体が痛くて。せめて枕と敷き布団ぐらい用意しようかなって」
「クッソ、可愛い」
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