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箒を掃除用具入れに入れると、俺は職員室へ戻った。
「あら、焼き芋大会用の枯葉集めは?」
「よっちゃんの邪魔みたいなので諦めました」
おばさんが、眼鏡の奥で俺の気持ちを読み取るように見つめてくる。
「五城楼さんって、今日は何時ごろ来られますかね?」
「いつも通り一番最後でしょう」
「……五城楼さんが来ますよね? 息子さんじゃ、ないですよね」
あんなに素敵な人だけど、俺の息子さんがどうしても苦手だ。
怖くて、こっちが先に気づいたら職員室へ逃げるようにしているレベルに、苦手だ。
「今日は何も言われてないわねえ。息子さんじゃないと思うわ」
「良かった」
「こーら」
園長先生が嗜める。が俺は、余程五城楼さんにメロメロなのか息子さん二人に嫌われているもん。
いっつも、話しかけてこないくせに息子さん、睨んでくるし。
46歳だから成人した息子さんがいても構わないし、別にいいんだけど、でも。
怖いからできれば、お迎えは実朝さんに来てほしいな。
「なあ、おばさん。夕ご飯は二人の家に帰っていい?」
甘えた声でねだるが、おばさんは一瞥するとまた机に向かって仕事を続ける。
「貴方はいい加減に一人暮らしするべきです」
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